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福岡地方裁判所 昭和61年(わ)674号 判決

本店の所在地

福岡県宗像郡福間町二二六番地二

株式会社松本実業

右代表者代表取締役

松本平蔵

本籍

熊本市二本木三丁目三五二番地

住居

福岡県宗像郡福間町二六一番地

会社員

松本平蔵

昭和一一年七月五日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官福田孝昭出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社松本実業を罰金一、四〇〇万円に、被告人松本平蔵を懲役一一月に各処する。

被告人松本平蔵に対し、この裁判確定の日から三年間、右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべ事実)

被告人株式会社松本実業(以下、被告会社と略称)は、福岡県宗像郡福間町二二六番地二に本店を置き、熊本市下南部町二七七番地においてパチンコ店「パラダイス熊本店」を、また、福岡県粕屋郡古賀町大字今在家字井手口二七三番地一において同「ゴールデンパラダイス古賀店」を経営する資本金六〇〇万円の株式会社であり、被告人松本平蔵、右被告会社の代表取締役として、その業務全般を統括しているものであるが、被告人松本は、被告会社の右業務に関し、法人税を免れようと企て、前記パチンコ店での売上の一部を除外するなどして、簿外預金を蓄積するなどの方法により所得を秘匿した上

一  昭和五六年六月一日から同五七年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が八、八七九万七、〇四一円であったにもかかわらず、同五七年七月三一日、福岡市東区香椎駅前二丁目一〇番三三号所在の香椎税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七四五万一、〇〇五円で、これに対する法人税額が二一五万二、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の前記事業年度における正規の法人税額三、六二五万二、二〇〇円と前記虚偽の申告税額との差額三、四〇九万九、四〇〇円の法人税を免れ

二  同五七年六月一日から同五八年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億四、四八九万八、三〇九円であったにもかかわらず、同五八年八月一日、前記香椎税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七、九八六万七五五円で、これに対する法人税額が三、二四七万七、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の前記事業年度における正規の法人税額五、九七九万三、九〇〇円と前記虚偽の申告税額との差額二、七三一万六、〇〇〇円の法人税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

全事実について

被告人の当公判廷における供述及び検面調書四通(検四七号ないし五〇号)

武藤武志の告発書、同人作成の脱税額計算書説明資料、査察官調査書

水上政嗣の脱税額計算報告書、捜査報告書

安田博延の捜査報告書

村山好宏の査察官調査書

磯辺信久(四通)、杉本秀人(二通)、松本法子、松本節子、井原康喜、碓井常祐の各検面調書

小久保勝昭の質問てん末書二通

広渡堅太郎(二通)、足立陽(二通・検二五、二六号)、名取大征、二宮嗣郎、賀中友康の各申述書

一事実につき

昭和五七年度法人税確定申告書一綴(昭和六一年押第二九三号の一)、同年度法人税確定修正申告書一綴(同押号の二)

金春純の検面調書

足立陽の申述書(検二七号)

二事実につき

昭和五八年度法人税確定申告書(同押号の三)

(法令の適用)

判示各所為

被告人松本につき

法人税法一五九条一項(七四条一項二号)(懲役刑選択)

被告人会社につき

同法一六四条一項(一五九条一項、二項)

併合罪加重

被告人会社につき

刑法四五条前段、四八条二項

被告人松本につき

同法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示二の罪の加重)

執行猶予

被告人松本につき

同法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 荻尾孝至)

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